ロシアの奇策が及ぼす日本への影響とは?
こんにちは!
ニュースではロシアのウクライナ侵攻が毎日のように報じられています。
世界から経済制裁を受けても侵攻を止めないロシアですが、一時期ルーブルが暴落して話題になりましたよね。
ロシアはいかにして、過去最安値と言われる程下落したルーブルを回復させたのでしょうか。
今回のメルマガではルーブルの下落と回復の理由、そしてロシアの金融政策における日本への影響をご紹介します!
もうすでに知っている方も、社会情勢のおさらいになると思いますので是非気になるところだけでも読んでみて下さい!
■ルーブルの下落
ルーブルは一時、過去最安値である1ドル142ルーブル台にまで下がりました。
その主因は
・複数の大手銀行がSWIFTから排除
・中央銀行の資産凍結
ロシアがウクライナへ軍事侵攻をしたことを受け、EUは「SWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの複数の大手銀行を排除する」と発表しました。
これにより、ルーブルを簡単にドルに変えることが出来なくなり、ルーブルへの信用がなくなって一時価値が大きく下がったのです。
まず、SWIFTとはベルギーに本部を置く非営利組織です。
国際金融の送金を手がける、いわば世界的な決済ネットワークと言えるでしょう。
このSWIFTから排除されてしまうと、その国の企業は海外との貿易の決済が困難になります。
つまりロシアが外国の通貨を得られなくなり、経済にも大きな打撃をくらう仕組みになっているのです。
それ故にこの措置は、ロシアに加えられる最も厳しい制裁手段のひとつであるとされています。
もう一つはロシア中央銀行の資産凍結です。
ロシア中央銀行が海外の銀行に預けているドルやユーロ、金などの資産を凍結してしまったのです。
この結果、資産凍結によって外貨を売ることが出来ず、為替市場への介入が出来なくなりルーブル安にストップをかけることが難しくなったという訳です。
■ルーブルの回復と日本への影響
現在、ルーブルはウクライナ侵攻前と同じ79ルーブル台まで持ち直しています。
その回復の理由は、ロシアの経常収支が黒字だからです。
経済制裁の結果、海外からロシア国内への輸入は減りました。
しかし多くの国がロシアにエネルギー資源を依存しているため、ガスや石油といったロシア側からの輸出は変わらずに続いており、黒字が拡大しているのです。
黒字拡大ということは、それだけロシアが大きな外貨を取得したということです。
その外貨を自国通貨に変えようというニーズが高まり、結果的にルーブル高に繋がっていきました。
そして最近では、ロシアは「天然ガスの代金をルーブルで決済させよう」という奇策を打ち出しました。
前述の通り、ロシアの中央銀行は経済制裁の影響で海外のドル資産を使えません。
そのため、決済通貨としてのルーブルの需要を増やし、急落した為替相場を安定させたい狙いがあるのです。
しかし、日本を含むG7は天然ガスの購入代金をルーブルで支払うことを拒否しています。
現時点では、日本は天然ガスなどの輸入の際にルーブルでの支払いを要求されていません。
ですが今後、ルーブルでの支払いを迫られないとは限りません。
その場合、天然ガスのおよそ8%をロシアから輸入している日本にとって大きな影響を及ぼすでしょう。
世界からは
「各国がエネルギー資源をロシアに頼っているため、経済制裁の効果がいまいち得られていないように思える」
「ロシアが中国などと手を組み経済制裁をかわすのでは?」
などの懸念の声も上がっています。
しかし、日本は石炭の輸入を段階的に削減することを表明しており、徐々にではありますが世界で「脱ロシア」の動きが始まりつつあります。
今後も、ロシアと世界の経済の駆け引きに注目していきましょう!
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