ロシアからのエネルギー供給が停止するとどうなるのか
欧州連合(EU)が7日に
ロシア産ガスの価格に
上限を設ける案を表明しました。
しかし、
その直前にプーチン大統領が
「そうした上限が導入されるのなら
ロシアは供給を止める」
ということをほのめかしています。
今回は、
「ロシアからのエネルギー供給が
停止するとどうなるのか」
について解説させていただきます。
■天然ガスや原油が暴騰する可能性
ロシアから欧州へのエネルギー供給が途絶えれば、
世界のエネルギー市場は一層混乱し、
天然ガスや原油の国際価格は
暴騰する可能性が高いと思われます。
なぜなら、
ロシアは世界最大の天然ガス輸出国であり、
サウジアラビアに次ぐ
世界第2位の産油国でもあるからです。
ロシアの国営ガス会社「ガスプロム」の
ミレル最高経営責任者(CEO)は8月に
「欧州の天然ガスの価格は
今後1000立方メートル当たり
4000ドルまで高騰する可能性がある」
と発言しています。
ロシア側の発言を
鵜呑みにすることはできませんが、
7日時点の天然ガスの価格が
約2200ドルだったことを考えると、
あり得ないとも言えなさそうです。
■ロシアにも打撃
EUがエネルギー調達で
脱ロシア化を進めていけば、
当然ロシアにも打撃になります。
8月30日に
ロシアのミシュスチン首相が主催した
非公開会合にて提出された、
ロシアのエネルギー戦略をまとめた文書では、
「外国顧客への供給を減らすと
低価格に設定した国内販売の損失を
輸出収入で補うという
従来の仕組みが崩れる」
としています。
さらに、
その結果として
「各地域でのガス開発に必要な資金が不足しそうだ」
との見方を示しました。
EUへの天然ガスの輸出をおこなえなくなれば、
ロシアは大きな減収となり、
ガスセクター向け投資も
減ることになると見ているようです。
■原油と天然ガスの輸出=外貨調達源
ロシアにとって
欧州への原油と天然ガスの輸出は、
長い間主な外貨調達源になってきました。
つまり、
欧州への原油と天然ガスの輸出を
止めるのであれば、
別の国への輸出を
考えなければなりません。
現在プーチン大統領が繰り返しているのは、
欧州がロシア産の原油や天然ガスを買わない、
もしくは価格に上限を設定するのであれば、
ロシアは中国やインドに
主要顧客を切り替えるというメッセージです。
しかしながら、
これを実行するためには、
中国やインドに向けた
パイプラインの建設を加速させなければなりません。
ロシアから欧州への
エネルギー供給が止まれば、
天然ガスや原油価格が暴騰して
西側諸国の痛手になりますが
ロシア側も大きな減収になるため、
本当に止めるのかどうか
今後の展開に注目していきたいところです。
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